しなやかさと力強さで創る
認知症になってもだいじょうぶな社会

『認知症になってもだいじょうぶ!』著者 藤田 和子

#05 認知症のことについて決めるときに、 私たちを抜きに決めないで!

藤田和子さんがサインをするときに書くことばとは、「笑顔を忘れず歩んでいこう♡」 「すべての認知症の本人とその周りでともに歩む人が、笑顔でいられる社会をみなさんとともに創っていきたい」というメッセージである。 

どうすれば「認知症になってもだいじょうぶ」であることが可能になるか。その答えが、著者が渾身を込めて綴った本書に描かれている。 

5月28日に東京で開催された出版記念会では、しなやかで力強い著者の話が聞けた。  

― 株式会社メディア・ケアプラス 松嶋 薫 ―

(『ドクタージャーナル Vol.17』より 構成:絹川康夫, デザイン:坂本諒)
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最後に登壇したのは認知症介護研究・研修東京センター研究部長の永田久美子さん。

「最初にクローバーの会で藤田さんに会った時に、“私たちのことを私たち抜きで決められてしまいます”私たちは声を上げていきたい。と話してくれました。

常識を変えていく勇気のいる一歩だと思いました。

重要なことは藤田さんが声を上げるのは、声を上げたくても上げられない人たちがいて、その人たちも含めてみんなで本人の声を伝えていき
たい。本人だからこそわかることを伝えて、希望をもって暮らせる社会を一緒に創っていきたいという切実な願いに根差している点です。

そうした思いから2014年には日本認知症ワーキンググループを設立して、本日もここに来られている佐藤雅彦さんと共同代表として積極的に行動しています。

同グループは、メンバーの声を集めて厚生労働省に提案書を持って行ったり、運転免許に関して警察署に提案を届けたりするなど、先延ばしにせずアクションしていく姿がすごい。

こぶしを振り上げるのではなく、切なる声を原動力にして前向きな提案をしていることがお役人や社会の人々に響き、共に創る確かな流れが生まれてきている」
と、藤田さんたちの活動について解説しエールを送った。

同グループは一方的に主張を通すというのではなく、「決めるときには本人の声を入れてほしい」と提案している。

藤田さんは「みなさんとつながっていくことで、声を出しやすくなります。今後、日本認知症ワーキンググループは、運転免許や障がい者手帳を認知症の人が使いやすくする見直しなどについて取り組んでいくところです」とこれからの抱負を語る。

一歩先を歩む藤田さんだが、決して一人で歩むのではなく、700万人とも言われる認知症の人たちと、そして社会のさまざまな人たちとともに歩もうとしている。このことを本書で具体的に示している。

認知症になっても大丈夫!そんな社会をつくっていこうよ
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藤田和子さんとご家族
藤田 和子 (ふじた かずこ) 氏

鳥取県出身、鳥取県鳥取市在住。認知症の義母を9年間介護し、その後看護師として勤務中の2007年に自身がアルツハイマー病と診断された。以来、鳥取県で「若年性認知症問題にとりくむ会・クローバー」を立ち上げるなど、認知症の人も誰もが生きやすい社会をめざして講演や執筆を続ける。若年性認知症問題にとりくむ会・クローバー副理事長、日本認知症ワーキンググループ共同代表。
本年3月に著者を取材しNHK総合で放送されたドキュメンタリードラマ『母、立ちあがる』が第54回ギャラクシー賞奨励賞を受賞。