井上眼科病院 院長  井上賢治
連載ユニバーサルデザインによる病院づくりで、ホスピタリティの実現を目指す

#04 ロービジョンの方たちにとって暮らしやすい世の中になっていって欲しいと思います。

ユニバーサルデザインとは、障害の有無や年齢、性別、人種などにかかわらず、多くの人々が利用しやすいように製品やサービス、環境をデザインするという考え方である。 132年の歴史を誇る「井上眼科病院」および「お茶の水・井上眼科クリニック」では、眼の見えづらい方、体の不自由な方、お年寄りやお子様など、さまざまな方が安全に安心して通院、入院できるように、誰もが使いやすいユニバーサルデザインを導入して、快適な病院空間づくりに取り組んでいる。 (『ドクタージャーナル Vol.7』より 取材・構成:絹川康夫、写真:安田知樹、デザイン:坂本諒)

医療経営者として思うこと

医学部に入った当時は、眼科医以外にも興味を持った時期がありましたが、目が見える、見えないということは、実は人が生活をする上で大きな要素です。

誰でも生きている限り目は見えたほうが絶対に良いわけで、眼科の使命もそこにあると感じました。

また多くの患者さんから感謝されている父親の姿も見ていましたので、それも眼科医を目指した動機でした。

現在、医療経営に携わる立場としてあえて言えば、医療経営において利益を出すという事は、医療を発展させていくために必要と考えています。

患者さんのために最新で最善の医療を行うためには、常に投資をしていかなければなりません。

投資には、設備や機能面などの物的投資もあれば、優秀なドクターやスタッフを集めるための人的投資もあります。医療経営者としては常にその判断を求められ、それは大変な勇気と決断がいる事です。

当病院では、それぞれの分野における専門ブレーンやスタッフが連携して、いわばチームのような形で病院経営に参画しております。

これからの高齢化社会においては、目が悪くなってからの寿命も必然的に延びるわけです。

目の病気では未だに治せないものもあります。自分自身も目が悪くなるかもしれないと考えたときに、ロービジョンの方たちにとって暮らしやすい世の中になっていって欲しいと思いますし、社会全体の取り組みとしてもそれは必要と感じます。

眼科専門医として、そのような活動も行っていきたいと思っています。視覚障害の方が駅のホームから転落したニュース報道などを見ると、尚更そう思います。

視力は人の生活に取って非常に重要な機能

ところで最近は、眼科医になるドクターが少なくなっているという話を聞きます。目の病気で生死に関わる事は少ないかもしれませんが、見える見えないは人の生活に取って非常に重要な機能です。

人が得る情報の80%は視覚情報から入ってくるともいわれています。そのような意味では人が生きる上で、眼科は大事な診療科目と思っています。

ですから多くの医師に眼科を目指して欲しい。眼科医が増えれば、それだけ治療法や研究も進み、ひいてはそれが多くの患者さんの喜びに直結します。私はそう願っています。

医療法人社団済安堂 井上眼科病院グループ

●井上眼科病院/手術、入院、特別外来、専門外来、レーシックセンター
●お茶の水・井上眼科クリニック/一般外来、小児眼科外来、専門外来、コンタクトレンズ外来、屈折矯正外来、眼科ドック
●西葛西・井上眼科病院/手術・入院、一般外来、小児眼科外来、コンタクトレンズ外来、専門外来、病床数32床
●大宮・井上眼科クリニック/日帰手術、一般外来、小児眼科外来、専門外来

【井上眼科病院グループ統計データ】 (平成28年度)

総外来数 429,715人(約1500人/1日)(4施設)
総手術数 10,748件(約35人/1日)(井上眼科病院、西葛西・井上眼科病院、大宮・井上眼科クリニック)

この記事の著者/編集者

井上賢治 井上眼科病院 院長 

医療法人社団済安堂 理事長 井上眼科病院 院長  医学博士 眼科専門医 1993年千葉大学医学部卒業、1998年東京大学医学部大学院卒業、1999〜2000年 東京大学医学部附属病院分院眼科医局長、2002〜2005年医療法人社団済安堂井上眼科病院附属お茶の水・眼科クリニック院長、2006〜2012年医療法人社団済安堂お茶の水・井上眼科クリニック院長、2008年医療法人社団済安堂 理事長、2012年医療法人社団済安堂 第11代井上眼科病院院長 日本眼科医会代議員、東京都眼科医会常任理事、日本ロービジョン学会評議員、NPO法人空間のユニバーサルデザイン総合研究所理事、他

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