連載「パーソンセンタードケア」と「地域における連携ケアの重要性」

#06 パーソンセンタードケアのパーソンとは全ての人を指す

座談会出席者 木之下徹氏  医療法人社団 こだま会 こだまクリニック院長 本多智子氏  医療法人社団 こだま会 こだまクリニック 看護師 勝又浜子氏  厚生労働省老健局高齢者支援課 認知症・虐待防止対策推進室長 加畑裕美子氏 「レビ-小体型認知症介護家族おしゃべり会」代表 中野あゆみ氏 有限会社DOOD LIFE(高齢者住宅・訪問介護)代表 社会福祉士  ファシリテーター 元永拓郎氏  帝京大学大学院文学研究科臨床心理学専攻・准教授 司会 絹川康夫 一般社団法人 全国医業経営支援協会 代表理事 ※平成24年7月31日に開催。 出席者の所属、役職は当時のものです。 (『ドクタージャーナル Vol.5』より 取材・構成:絹川康夫、写真:安田知樹、デザイン:坂本諒)

認知症の人は勿論、ケアする人も人である。

本多: 私は認知症の在宅ケアに十数年携わってきました。その関わりの中で、在宅医療の看護的な目を養うばかりに、認知症の当事者の方や周囲の人々の視点に気づけなかった時間も多くあったのではないかと感じるようになりました。

在宅診療に携わる中で接するようになった、ご本人、ご家族、地域の方々、他職種の方々が私に求めてくる内容が、いままでの医療のものとは別の内容に変わってきたのです。

医療面よりもむしろ、生活の中で困っている事柄に関係する相談が次第に増えていったのです。そのうち、それらの気づきと医療とケアを上手く繋げない限り、受診者のためにならないと考えるようになりました。

医師が医療だけにこだわり、看護師は看護師の仕事だけとか、各々が自分の職域にこだわっているようではだめで、各々がもっといろいろな目を持たなければならないと思います。

気づきを与え、医療とケアと福祉を近づけ繋げるためのものがパーソンセンタードケアの考え方だと思いますし、それを理解して実際の行動に反映させていくことが重要だと思います。

木之下: 認知症のテーマ性とは、限られた誰かが語るのではなく、全員が問題意識を持たざるを得ないのです。何故ならば、誰もが認知症になる可能性があるからです。

パーソンセンタードケアのパーソンとは、認知症の人のパーソンであり、これから認知症になるかもしれない私たちがパーソンでもあり、ケアする人もパーソンでもあるという、全ての人を指していると考えられます。

勝又: パーソンセンタードケアは認知症のケアの基本になり、その人中心のケアと言えますが、今の流れでその人中心のケアと考えると、認知症のケアだけでなくて全ての人に対する医療にも言えることですね。

糖尿病の人にも言えるでしょうし、病気で無い人にも、普通の人間関係にも言えますね。その中でも特に認知症には象徴的と言えるわけですね。

木之下: その通りだと思います。「パーソン」は「人」です。なので、パーソンセンタードケアを「その人中心のケア」と訳すのは間違いだと思っています。

「人中心のケア」がパーソンセンタードケアの直訳であろうと。

「その人」中心の視点は、まず前提とするべき大切なことです。しかし、それが行き過ぎ周囲の人を抑えつけるような、本人至上主義はおかしい。それでは周りは疲弊します。

イギリスの臨床のガイドラインでは、「Supporting people with dementia and their carers in health and social care.」と表紙に書かれています。

認知症の人はもちろん、ケアする人も人である。人を考える。人として関わっていく。我々も人として生きていく。そういうことをパーソンセンタードケアのコンセプトは与えてくれるのだと考えます。

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