杉山産婦人科 院長  杉山力一 氏
連載杉山力一氏インタビュー:不妊ドックに力を入れる不妊治療専門医 

#05 杉山力一氏「特に若い方に向けての啓発活動の意味でも不妊ドックに力を入れたい」

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杉山産婦人科は、60年の歴史で培った経験と最先端医療を融合させ、生殖医療科(不妊治療/内視鏡手術)と産科婦人科(分娩)の機能を兼ね備えた国内屈指の産婦人科医院だ。 杉山力一院長は「ご妊娠/ご出産という人生最大のイベントに立ち会える幸せを改めて胸に刻み、「Every Patient here is a VIP(当院の患者様はすべてVIPです)」をモットーに皆様と夢を共感して参ります。」と語る。 生殖医療専門医、内視鏡技術認定医、培養士、産科専門医、麻酔専門医、小児科医、看護師、受付スタッフの全員が不妊治療に携わり、生殖医療科では休診なしでの診療を行っている。 (『ドクタージャーナル Vol.8』より 取材・構成:絹川康夫、写真:安田知樹、デザイン:坂本諒)

産めるときに産まないと産めなくなる

今後は、現在杉山産婦人科丸の内で開設している不妊ドックに力を入れていきたいと思っています。そこでは啓発活動も含めた不妊検診を行っています。

一番の不妊治療対策とは、産めるときに産まないと産めなくなるということを若いうちから知ること、それを啓発してゆく事だと思っているからです

驚くべき事に、女性は年齢が上がると妊娠し難くなるということが多くの人に知られていないのです。

女性の卵子の数は加齢とともに減ってゆく

実は女性の卵子の数は決まっていて生涯で増える事はありません。女性は生れた時には約200万個の卵子を持っていますが加齢とともに減ってゆき、さらには古くなってゆきます。

不妊治療の技術がどんなに進んでも、遺伝子が老化したら無理なものは無理なのです。

実は日本は体外受精の実施数が世界で一番多い国なのですが、理由は施術年齢が高く、同じ方が時には10回と数多く行っているからです。

しかし海外では一人が通常は1回か2回しか行いません。だから日本では不妊クリニックが乱立に近い状態になっているのかもしれません。

2年位前から、AMH検査という「卵巣年齢を計る検査」が行えるようになりました。これは血液検査でご本人の卵巣年齢が5歳刻み位である程度判るというものです。

例えば、20歳でAMH検査を受けて卵巣年齢が30歳と出たら、20歳代で結婚しないと妊娠が難しくなります。それを知らないで、35歳で結婚したらもう体外受精でも妊娠は非常に難しくなってしまう。

一番の不妊治療対策とは若い人たちへの啓発

なにも高齢者に限った事ではなく、30歳と35歳と40歳では妊娠する確率がそれぞれ違うと言う事なのです。

その事実を20歳代から知っていて欲しいのです。知らないから出産を先延ばしにして、いざ産みたいと思った時には妊娠しにくい体になっている女性が多いのです。

将来の自分の各年齢における妊娠の確率がある程度判れば、人生設計の中で若いうちに妊娠、出産を考えるでしょうし、若くして子供を産めば必ずもう一人欲しくなるでしょう。そこには生の相関があると思います。少子化対策としても有効なはずです。

今の時代は30歳位でも未婚の女性はとても多く、それが普通です。しかし30歳や35歳で既にお産をしたくてもできない体になってから、このことを知っても遅いのです。

この事実を知るだけでも不妊の方は半減するでしょう。逆にここを変えていかないと、これから不妊の人はますます増えていくと思われます。

ですから私としては特に若い方に向けての啓発活動の意味でも不妊ドックに力を入れたいのです。

社会全体で取り組んでゆくべき重要なテーマ

しかし、若い方で不妊検診に来られる方はまだ少ないですね。実際には未婚の40歳代の方たちが来られて、現実を知ってショックを受けられることが多いです。

また、AMH検査を不妊治療の一環で行っている不妊クリニックが多く、AMH検査だけを単体で受け付けている不妊クリニックは殆どありません。誰もがAMH検査だけでも受ける事ができるのは当院丸の内の不妊ドックだけだと思います。

視点を変えると、不妊対策には働く女性が置かれている職場環境や、若くして出産できる社会環境作りなど別次元の課題もありますから、医療分野に限らず日本全体における少子化対策の一貫としても社会全体で取り組んでゆくべき重要なテーマではないでしょうか。

※AMH検査とは

一般的に「卵巣年齢を計る検査」と言われる。AMHとは、抗ミューラー管ホルモンと呼ばれる女性ホルモンの一種で、卵巣の中にある、卵胞(発育卵胞、前胞状卵胞)から分泌されるホルモン。卵胞の数は誕生時に約200万個ありその後増える事は無い。AMH値が高いとこれから育つ卵胞が卵巣内にまだたくさんある状態で、値が低いと卵胞が少なくなってきている状態をさす。今後排卵できる期間が長いか短いかを予想するもので、年齢が上がるほど排卵できる期間が短くなり、卵巣機能の予備能を判断するひとつの目安となる。

(続く)

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この記事の著者/編集者

杉山力一
杉山力一 杉山産婦人科 院長 

医療法人社団杉四会 理事長 杉山産婦人科院長 平成6年東京医科大学卒業、平成10年北九州市のセントマザー産婦人科で6ヶ月間の研修を受ける、平成12年杉山レディスクリニック開院、平成19年産婦人科総合施設として杉山産婦人科開院、平成22年杉山産婦人科丸の内開院、平成30年1月杉山産婦人科新宿新病院開院予定。

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