鈴木内科医院 院長  鈴木央 氏
連載鈴木央氏インタビュー:緩和ケアや在宅医療の目標とは、QOLを高め、生活を支えること

#06 鈴木央氏: 緩和ケアの草分け的存在の鈴木荘一氏と、近代ホスピスの母シシリー・ソンダース

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「鈴木内科医院」は、地域の診療所として50年以上の歴史を持つ。 在宅療養支援診療所として地域の高齢者や認知症患者の医療を担う一方、日本でいち早く緩和ケアに組んだクリニックとして在宅緩和ケアを得意とし、地域のかかりつけ医として患者とその家族を支えている。 初代院長でもある父の鈴木荘一医師は、わが国における緩和ケアの草分けで、在宅ターミナルケアの先駆的な存在としても有名だ。 鈴木央院長は、内科医として外来診療を行いながら、在宅医療では、がんの疼痛管理を始め、経験豊かな知識に基づいた高度な緩和ケアを提供している。 鈴木央院長は、在宅医療は医療の頂点であり、ここには医療の原点があるように思うと語る。 (『ドクタージャーナル Vol.21』より 取材・構成:絹川康夫, 写真:安田知樹, デザイン:坂本諒)

鈴木 荘一氏 (1930年~2014年)

1954年東京医科歯科大学医学部卒業。1955年東京厚生年金病院内科勤務。
1961年に現在地(大田区山王)に鈴木内科医院を開設する。
1977年4月に英国・聖クリストファー・ホスピスを日本人医師として初めて見学訪問し、わが国にホスピスを紹介する。
1978年「日本プライマリ・ケア学会」創設に参画し、初代学会誌編集長、その後は常務理事を務める。
1981年「実地匡家のための会」世話人代表。
1983年日本医師会「プライマリ・ケア委員会」委員。同年厚生省「対癌戦略10ヵ年計画・終末期ケア研究会」委員を務める。
【著書】
「ひとはなぜ、人の死を看とるのか」人間と歴史社 (2011/10)「人間らしく死にたい! 在宅死を見つめて20年」 主婦と生活社 (1998/02)

シシリー・ソンダース(1918年~2005年)

医師・看護師、(英国)
近代ホスピス運動の創始者。近代ホスピスの母。
セント・クリストファー・ホスピスの創立者(1967年に創立した世界最初の現代ホスピス)
ホスピス運動の誕生に当たって重要な役割を果たし、また近代医学における緩和医療の重要性を強く強調したことでも知られる。
1950年代までの医療は、モルヒネなどの鎮痛剤を、中毒になりやすく危険であることを理由に、末期患者(特にガンの末期患者)に対して使うことを控える傾向にあったが、サンダーズはそのようなやり方を改め、患者の肉体的な苦痛を改め、精神的・心理的な苦痛を緩和し、安らかに余生を送ってもらえるような緩和ケア(palliative care)を実践した。
このような医療は「ホリスティック医学;全人的医療(holistic medicine)」と呼ばれることもある。
シシリー・ソンダースが唱えたホスピスの5原則
患者を一人の人格者として扱う。
苦しみを和らげる。
不適切な治療はしない。
家族のケア、死別の悲しみを和らげる。(グリーフケア)
チームワーク

在宅医療は医療の頂点

私は、午前午後に外来診療を行なう普通の内科診療所の医師です。東京の大田区で仕事をしています。患者さんからのニーズに応じて在宅診療を行なうようになり、気づいたときには、在宅医療にすっかり魅了されてしまいました。

ここには、医療の原点があるように思います。医師と患者、家族の信頼関係。世代を通して存在する医師と家族とのつながり。困難な時を医師と患者と家族が協力して乗り切る姿。効率性を重視し死を避ける医療を目指したあまりに、現在の病院医療が失いかけているものです。

在宅医療を新しい医療と捉える仲間もいます。しかし、私は在宅医療を古くから存在する当たり前の医療と考えています。

歩けるうちは近くの診療所に通い、歩けなくなれば在宅医療を受ける。やがて家族に囲まれて、その最期を迎える。最も自然な形の医療ではないでしょうか。

これを支える存在が地域における主治医という存在であり、かかりつけ医、家庭医、プライマリ・ケア医と呼ばれるものではないかと考えています。

残念ながら、このような医療は日本においては決してメジャーな医療ではなくなってしまいました。もちろん医療側の問題以外にも、社会的な問題の影響が大きいことは承知しているつもりです。

しかし、そのような医療が可能な社会的環境を持っていても、それを生かすことができないケースも決して少なくないと考えています。それは主治医の機能を十分に活用することができなかったケースではなかったのではないでしょうか。

このような医療は確かに簡単なことではありません。相当な努力が必要かもしれません。しかし、がんばったあとは、少しだけ気分がよくなります。医師としての自分の存在意義が少しわかってきたような気にさえなるのです。

こんな気分を今まで在宅医療を知らなかった皆さんにも味わっていただきたい。私はそのように願っています。
(一般社団法人 全国在宅療養支援診療所連絡会ホームページより)

一般社団法人 全国在宅療養支援診療所連絡会
〒102-0083 東京都千代田区麹町3-5-1 全共連ビル麹町館5階
TEL:03-5213-3766 FAX:0296-20-8667
【ホームページ】 http://zaitakuiryo.or.jp/index.html

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この記事の著者/編集者

鈴木央
鈴木央 鈴木内科医院 院長 

医師:内科、消化器内科、老年内科。専門:プライマリ・ケア、がん緩和ケア、在宅医療。一般社団法人 全国在宅療養支援診療所連絡会 副会長。大田区在宅医療連携推進協議会会長。日本在宅医学会理事。日本プライマリ・ケア連合学会理事。1987年昭和大学医学部卒業。1995年~99年都南総合病院内科部長。1999年~鈴木内科医院副院長。2015年鈴木内科医院 院長。 主な著書:『がんの痛みをとる5つの選択肢』、『医療用麻薬』、『命をあずける医者えらび-医療はことばに始まり、ことばで終わる-』他多数

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