#03 在宅医療では相手に対する共感力が求められる
2020.09.18
地域連携室の役割とは
静岡ホームクリニックだけでなく、医療法人社団貞栄会の各クリニック(三田在宅診療クリニック、千葉在宅診療クリニック)では、専従スタッフによる「地域連携室」を設置しています。
地域連携室の重要な役割としては、まず患者さんのサポートがあります。
知識・経験豊富な専任のスタッフが、病院やケアマネジャーなど関係部署やご家族から患者さんの状況を詳しく聞き取り、患者さん一人ひとりに適切な診療チームの環境と体制を準備します。
診療を開始してからも、常に安心して在宅診療を受けていただけるように、患者さんやご家族をサポートします。時には診療とは別に時間を割いて、患者さんの精神的なサポートを行います。
また、地域連携室は最適な医療連携のために、私たちが提供する医療の広報的な役割を担っています。当クリニックが提供できる医療を地域医療関係者・部署に正しく理解してもらう必要があるからです。
それと、一般の人に向けての在宅医療の理解促進・啓蒙の役割も担っています。
現状では、例えば終末期の患者さんが人生の最期をどこで迎えるかの選択は、病院や医師の判断によるところが多くあります。
しかし、患者さんやそのご家族に在宅医療の正しい知識と理解があれば、終末期であっても病院や施設ではなく、自宅で最期まで納得して過ごせる在宅医療を選ぶことができます。地域連携室ではその啓蒙活動も行っています。
在宅医療では相手に対する共感力が求められる
在宅医療とは、患者さん一人ひとりに希望に沿ったオーダーメイドのケアを提供することだと考えています。
ですから、余命を診断された患者さんが“残された人生を自宅でどのように過ごしたいのか”“どんな治療を望むのか、或は望まないのか”“こんなことがしたい、例えば旅行に行きたい”“点滴はしたくない”など、可能な限り患者さんの希望に沿うケアや対応を行います。
在宅医療とは治療することだけでなく、その病気とどう付き合っていくか、患者さんの日々をより良いものとするためにできることは何かを一緒に悩み、考えていくことです。
ですから、私は在宅医療に欠かせないのは、医療従事者の患者さんに対する共感力だと思っています。
相手の気持ちをしっかりと受け止めて理解し共感できなければ、一緒に考えていくことはできませんし、理想の在宅医療は成り立ちません。
相手の思いに共感することが、患者さんに寄り添うということだと思うのです。
在宅医療では当然、ターミナルケアや看取りも行います。
看取り時の「死」のとらえ方でいえば、ご家族にとって大切な身内の方を失った「死」と、私たち医療従事者にとって一人の患者さんの「死」とでは、その悲しみに自ずと大きな違いがあると思いますし、それは仕方のないことだとも思います。
それでも大切なことは、ターミナルケアにおいても、医師が一人ひとりの患者さんに共感し寄り添うことが、よりよい最期のときを提供することに繋がると考えています。
認知不足な在宅医療をもっと知ってほしい
世の中では在宅診療について、まだまだ十分に認知されていないことが大きな課題だと思っているので、その啓蒙活動も積極的に実行しています。
2017年には、在宅医療がもっと身近になり、必要な人が自由に選べるようになってほしいとの願いから、『1時間でわかる! 家族のための「在宅医療」読本』(幻冬舎)を執筆、出版しました。
これからも、患者さんやそのご家族だけでなく、一般の人々や医療従事者に対しても在宅医療の啓蒙に尽力していきたいと思っています。
首都圏と名古屋に展開
静岡ホームクリニックは、静岡県の大手地元介護施設との協力体制でスタートし、在宅医療で着実に実績を積み上げてきました。
この間、看取りの実績も年間約200人までに拡大し、高品質で手厚い医療サービスが評価され、2019年10月、東京都港区に三田在宅診療クリニックを、同じく2019年11月には千葉県千葉市に千葉在宅診療クリニックを開設しました。
2020年秋には、愛知県名古屋市に精神科特化型在宅診療を専門とする「名古屋・精神科特化型在宅診療クリニック」も開設予定です。
これからも、自分たちが目指す在宅医療を推進していきたいと思っています。