#01 すべてが揃ったオールランドの健康公園がコンセプトの「ヘルスパーククリニック」

群馬県高崎市の医療法人社団美心会黒沢病院が2009年7月に開設した「ヘルスパーククリニック」。最先端の予防医療、健康診断、治療、運動ができる施設である。 予防という概念がまだ重要視されていなかった時代に黒澤功理事長が構想して実現した、外来診療、メディカルフィットネス、人間ドック、デイケア、美容皮膚科などで構成される複合医療施設だ。 4階建て延床面積1万3千平方メートルという広々としたスペースは開放感に溢れ、病気の早期発見と予防に重点を置き、最高の総合医療サービスの提供をめざしている。 黒澤功理事長は、1代で総合医療サービスを提供する北関東随一の医療機関を築き上げた。 (『ドクタージャーナル Vol.1』より 取材・構成:絹川康夫, 写真:安田知樹, デザイン:坂本諒)
黒澤功
黒澤功 氏 
医療法人社団美心会 黒沢病院理事長。昭和16年6月14日群馬県多野郡中里村生まれ。医学博士。 群馬県立富岡高校、岩手医科大学を卒業後、群馬大学医学部泌尿器科に入局し、群馬大学医学部附属病院泌尿器科医局長、富岡総合病院泌尿器科医長、人工腎臓部部長を経て、昭和52年に黒沢医院を開設。昭和60年に黒沢病院を開設。平成8年に医療法人 社団美心会を設立した。平成11年に特別養護老人ホーム「シェステやまの花」を開設、平成14年に特別養護老人ホーム「シェステさとの花」を開設した。

予防医療を中核とした健康公園クリニック

黒沢病院附属ヘルスパーククリニックは、予防を第一の使命とし、MRI、マルチスライスCT、マンモグラフィ、超音波診断装置、血圧脈波検査装置など、最先端の診断装置を設置している。

撮影・診断を行った検査結果をもとに、保健、運動、栄養の面からトータルにバックアップし、検査結果で異常が見つかった場合は、外来で診察することになる。すべてが揃ったオールランドの健康公園というコンセプトが実現された施設なのである。

「これからは予防医療の時代であるとずっと考えてきました。誰も病気になりたくありませんから、病院として早くから人間ドックを手がけてきました。

50歳から通ってもらい、60歳になって病気になったのでは、10年間信頼し続けてきた受診者の方に申し訳ないと思っていたのです。

健康公園の設計図は20年も前にでき上がっていたのですが、ようやく実現することができました。発病前に運動をしてもらう施設を設け、オーダーメードの運動メニューを提供し、食事指導に従ってもらいます。

それを行って健康を取り戻している人がたくさんいらっしゃるのです」と黒澤功理事長は語る。

メディカルフィットネス&スパ

メディカルフィットネス&スパ「ヴァレオプロ」(ラテン語で健康増進を意味する)とは、医療と連携した新しいスタイルの疾病予防運動施設である。健康運動指導士がカウンセリングをもとに運動プログラムを作成する。

会員の運動状況は自動的に記録され、結果表が定期的に会員に渡されてメディカルチェックに活用される。スパには敷地内の地下から汲み上げている天然温泉の露天風呂も備える。しかも入会金、月会費は周辺のフィットネスクラブと比べても安いくらいだ。

年間15,000名以上が受診する「人間ドック」

高崎健康管理センターは、人間ドックと健康診断の施設である。全身MRI腫瘍ドック、心血管ドックなどの最先端医療機器、専門医による診察・検査で、健康をサポートする。ドック着は、上下組み合わせ30種類から好きなカラーを選べる。

このセンターの呼び物は、イタリア製家具がふんだんに取り入れられたホテルさながらの優雅な空間である。

ドック専用宿泊19室は、世界各国の都市をイメージした内装が施されている。レストランは高級感あふれるメニューを提供し、食器は陶器を使い、クリニックであることを忘れさせる。

提供される米や食材の品質にも時には現地に買い付けにも行くという黒澤理事長のこだわりが徹底されている。まさにリゾートに滞在した気分を味わいながら人間ドックが受けられ、しかも料金がいたって一般的なのに驚く。

黒沢病院附属ヘルスパーククリニック

診療科目:泌尿器科、脳神経外科、内科、循環器内科、呼吸器内科、内視鏡内科、外科、消化器外科、皮膚科、整形外科、歯科・歯科口腔外科、専門外来(循環器、糖尿病、乳腺、排尿機能、肝臓、呼吸器、無呼吸、インプラント、禁煙外来)、予防接種
※人間ドック、脳ドック、各種健康診査、保健指導は当施設3F・高崎健康管理センターにて実施している。

黒沢病院

従来の医療機関のイメージを全く覆す

ヘルスパーククリニックの外来診療フロアは、街歩きがイメージされて設計されている。

ヘルシードリンクや軽食を楽しめるカフェ、140インチスクリーンのある映像室、闘病記と写真集を閲覧できる図書室などが配置。明るく元気になる雰囲気を醸し出され、自動ピアノも置かれている。

ヘルスパーククリニックで行った検査は、黒沢病院でその内容がわかるようになっている。すべて一体化して電子カルテで見ることができるのである。人間ドックで生活習慣病が発見されれば、フィットネスではそれに合った運動量をマシーンに設定する。

たとえば心臓病だから危険なので運動させないのではなく、その人にふさわしいオーダーメードの運動をすることができるのである。心臓の機能評価をして状況が改善されていれば、運動量を上げる設定にする。

従来の医療機関のイメージや雰囲気をまったく覆すのがヘルスパーククリニックである。現状に満足せずに打破していく意味が込められてデザインされている美心会マークをそのまま実践した感がある。

医療の質とホスピタリティの両面でつねにワンランク上をめざしている医療機関としての姿が、施設と設備、サービスで表現されている。そのことは、患者さんの目にもしっかりと映って受けとめられているのである。

この記事の著者/編集者

黒澤功 医療法人社団美心会 黒沢病院 理事長 

昭和16年6月14日群馬県多野郡中里村生まれ。医学博士。
群馬県立富岡高校、岩手医科大学を卒業後、群馬大学医学部泌尿器科に入局し、群馬大学医学部附属病院泌尿器科医局長、富岡総合病院泌尿器科医長、人工腎臓部部長を経て、昭和52年に黒沢医院を開設。昭和60年に黒沢病院を開設。平成8年に医療法人 社団美心会を設立した。平成11年に特別養護老人ホーム「シェステやまの花」を開設、平成14年に特別養護老人ホーム「シェステさとの花」を開設した。

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遺伝子専門医でもある熊川先生は、難聴のリスク遺伝子を特定する研究にも携わられてきました。信州大学との共同研究を経て、現在では高い精度で予後を推定できるようになっています。 将来を見据えたライフスタイルの設計のために。本連載最終記事となる今回は熊川先生の経緯や過去の症例を伺いながら、難聴の遺伝子検査について取り上げます。