リズム新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック 院長  白濱龍太郎 氏
連載白濱龍太郎氏インタビュー:睡眠・呼吸器専門の第一線で活躍する専門医を擁し睡眠医療と在宅に取り組む。

#03 あまり認識されていませんが、子供の睡眠障害は病気かもしれません。

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「睡眠は、いろいろな病気の根底に関係していて、決して軽視できない。」と、白濱院長は睡眠医療の重要性を訴える。 しかし日本における睡眠医療は、専門医も少なく専門検査のできる医療機関も今だに少ないのが現状だ。 同クリニックは、在宅医療と睡眠医療に特化した検査と治療のできる専門クリニックとして2013年に新横浜駅に近接して開業した。 最大の特徴は、最新の専門検査体制を整えた設備と、第一線で活躍する睡眠・呼吸器の専門医を揃えた診療体制である。 同クリニックの運営モデルは、国内はもとより海外からも多くの関係者が視察に訪れている。 (『ドクタージャーナル Vol.13』より 取材・構成:絹川康夫, 写真:安田知樹, デザイン:坂本諒)

小児科医でも、子供の睡眠障害は病気かもしれないということが、残念ながらあまり認識されていないのではないでしょうか。

睡眠障害には睡眠時無呼吸症候群や、ナルコレプシーなどの十代前後までに頻発するような病気もあるのですが、決してそれだけではありません。

不眠症や朝起きられないというような場合、スマホ中毒でスマートフォンの光を夜間に浴びることで体内時計が動き始めリズム障害を起こしていることが原因だったりします。

その場合もきちんと治療をしなければ治りません。子供たちの睡眠障害については、医師だけでなく教師や親の認識も重要です。病気かもしれないわけで、根性論だけでは無理で子供がかわいそうです。

あるいは家庭環境や親の生活パターンも原因の一つだったりします。そうなると子供を育てるお母さんたちの教育からスタートする必要性も最近は強く感じたりします。

特に今年になって、市区町村や保健所からの依頼で中学生たちに睡眠についての講演する機会が増えてきているのもその一例です。

日本人は睡眠を軽視しがちです。

実際に携わっていて、睡眠医療はいろいろな病気の根底に関係していて軽視できない部分があると感じるところでもあります。

元々の土壌として日本人は睡眠を軽視しているところがあります。ですから特に日本人には睡眠障害が多いと感じます。

例えば、睡眠時間についても、日本人は削る傾向にあります。

「惰眠をむさぼる」という言葉に象徴されるように、日常の活動が主で、睡眠は余った時間を当てる。寝るのがもったいない。というような考えが強い人が多いようですね。

睡眠時間の統計でも、ヨーロッパに比較してアジア全体は低く、その中でも日本が一番少ないというデータもあるくらいです。

しかし、アメリカなどでは日中のパフォーマンスを維持するためには、オフの時間つまり睡眠が重要だということで、1990年代から「Wake Up America」という国家的プロジェクトに取り組み始めました。

「Wake Up America」とは

米国睡眠障害調査研究委員会が1993年に米国議会に提出した報告書は、「Wake Up America(目覚めよ、アメリカ)」と題され、石油タンカーの座礁事故やスペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故、スリーマイル島原発事故、多数の交通事故には睡眠障害が関連しているという衝撃的な記載がなされ、大きな話題となった。

米国では睡眠の問題によって起こるヒューマンエラーに基づく事故を防止することは国家的急務であるとして、睡眠障害の重要性を啓蒙し、その早期発見、治療を促進するとともに、睡眠に関する知識の普及を目指して、大規模な意識改革キャンペーンが行われた。

その結果米国では、既に数百ヶ所に睡眠障害治療センターが設立され、専門的な医療が行われており睡眠医療先進国として今に至っている。

日本人の骨格の特徴にも起因しています。

また睡眠時無呼吸症候群についても、肥満男性に多いというような単純なことではなく、日本人の骨格の特徴にも起因しています。

日本人は欧米人に比べてあごが小さく、奥まっています。鼻も高くない。首が短くて太いなど、もともといびきや睡眠時無呼吸症候群を起こしやすい、気道が狭い顔つきなのです。

そのほか現代の子どもはあごが小さいため、扁桃腺肥大と重なって無呼吸症候群になる可能性が高まります。体格や年齢に関わらず、無呼吸症候群は心配な病気なのです。

アジアでは日本は睡眠医療の先進国。

逆にアジア諸国の中では、保険制度も含めた医療体制が整備されている点で日本の睡眠医療は進んでいます。

昨年、経産省のプロジェクトでインドネシアに行ってきましたが、睡眠医療に特化している医療機関は一つもありませんでした。

地域で一番大きい病院で、これから検査体制を取り入れていこうという状況です。

そこに日本から診断治療のノウハウ全般を導入していこうというのが経産省のプロジェクトです。今後はアジア向けの医療ツーリズムの一つとしても、睡眠の検診や治療はあり得ると思います。

また、日本企業の海外駐在員の健康管理をサポートしていこうという日本政府の考えもあります。その中に睡眠医療も含まれてくるでしょう。まだ細かい部分の課題はありますが、総じて日本の睡眠医療はアジア諸国の中では誇れる分野だと思っています。

(続く)

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この記事の著者/編集者

白濱龍太郎
白濱龍太郎 リズム新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック 院長 

リズム新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック院長。筑波大学医学群医学類卒業。東京医科歯科大学病院、東京共済病院等での呼吸器専門外来、睡眠障害専門外来の臨床経験を生かし、睡眠専門クリニック院長、睡眠医療連携パス委員を歴任、千葉、静岡の総合病院内にて、睡眠センターを立ち上げる。 2013年、睡眠・呼吸の悩みを総合的に治療する医療機関、RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルクリニックを設立。丸八研究センター所長として、睡眠環境の提案等も行う。『ビジネスマンの睡眠コントロール術』(幻冬舎)等著書、講演多数。

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