混合診療規制のもとで、患者は保険診療と自由診療をどう使い分けるべきか。

前回は標準治療との併用について、科学的な観点からお聞きしました。では、患者さんは実際のところどのようにして標準治療とANK療法を組み合わせていけばよいのでしょうか。実践的な観点からお聞きしました。

混合診療規制

——がんとわかったらなるべく早い段階でANK療法を検討してほしいとのことでしたが、患者さんの多くは初めに病院で診断を受けているかと思います。患者さんはどのように動けばいいのでしょうか。

原田:公的医療保険の充実している日本ですが、その運用上「混合診療規制」というルールがあります。このため、病院は同じ患者さんの同じ病気に保険診療と自由診療の両方を行うことはできません。つまり、大病院では保険診療を、町のクリニックでは自由診療を、という形で掛け持ちする必要があります。

まず患者さんは、大病院でがんの診断を受けたら標準治療の治療方針をよく聞きます。次に、ANK療法を扱える医師になるべく早く相談し、標準治療の診断や治療方針を伝えます。保険診療と自由診療を組み合わせる設計は可能ですから、保険診療に沿った自由診療の設計を行います。前回もお伝えしましたが、抗がん剤や放射線治療の前にリンパ球を採取し、ANK細胞を培養し保存しておく。そして標準治療が落ち着いたらANK細胞の投与という流れが理想です。

図3-1:保険診療と自由診療を組み合わせた治療設計のイメージ。

——大病院の医師が手術もANK療法も行うというのはできないのですね。

原田:はい。立場上、保険診療医は自由診療について聞かれても答えることさえできないのです。したがって治療設計は自由診療医が行うことになります。そのためには、病院から標準治療に関する情報を提供してもらうことが非常に重要になりますが、これが容易に達成できるものでもないのです。診断結果は患者さんのものでもありますが、病院のものでもありますから、協力的ではない場合があります。そして情報提供の申請は患者さん自身が行わなければなりません。私たちはどのように提供してもらうとよいかのアドバイスはできますが、代行はできません。

——患者さん自身が保険診療医と上手くコミュニケーションをとることが重要となりそうですね。

斎野:病院の先生にどう切り出したらよいかわからない、まだANK療法について話せていない、といった場合でも私たちやANK療法を扱うクリニックに相談していただければと思います。また、ANK療法について病院の先生を無理に説得する必要はありません。

「受けたいならあなたの責任で受けてください」などと言われてしまう場合もあるかもしれませんが、それ以上のことは言えない立場なので仕方ありません。医療とは、医師が治療プランを提案し、患者さんが受けます、と合意する。こうして進められるものです。

——他にがん患者さんが意識すべきことはありますか?

原田:保険診療でやるべきことを全てやって、それでもダメだから免疫細胞療法を検討する、という考えでは進行がんに立ち向かえません。手遅れにならないよう、がんと診断されたらすぐにANK療法を検討するのがベストです。

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ここまでで伝えきれなかったこともお伝えできればと思います。

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    この記事の著者/編集者

    ドクタージャーナル編集部(藤原)   

    薬学・生物学を専門的に学んだメンバーが在籍。ミクロな視点で最新の医療を見つめ、客観的にその理想と現実を取材する。科学的に根拠があり、有効である治療法ならば、広く知れ渡るべきという信念のもと、最新の医療情報をお届けする。

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