人気クリニックの秘訣は話し方?患者さまに好かれる会話のコツ

<本連載について>
新宿で高い人気を誇る「信頼と実績」のクリニックを経営するカリスマ院長が、自らの実体験をもとにクリニック経営のノウハウをご紹介。クリニックを開業するにあたって重要な立地選び、ネット広告、接遇マナー、採用・教育など、今の時代に即した経営戦略をお伝えします。

患者さまを集めるために大切なことは何だと思いますか?

実は、立地や実績と同じくらいコミュニケーションが重要なのです。この記事では患者さまとの話し方について分かりやすくまとめました。診察などでの接し方に役立てていただければ幸いです。

患者さまが行きたくなるクリニック

クリニックの開業支援や経営コンサルタントをするなかで分かってきたことがあります。患者さまにとって良い医師というのは、よく話を聞いてくれて、その場を和ませてくれるような人だということです。つまり、患者さまが重視しているのは医師の人柄であり、コミュニケーション能力であるということ。

このような医師がいるクリニックは、自然と良い口コミが集まりやすく、近所でも評判になりやすいです。そのため、宣伝にはそれほど力を入れていない場合でも患者さまが集まりやすい傾向にあります。

考えてみればそれもそのはず。多くの患者さまは身体の不調などで不安や悩みを抱えて来院します。ですから、ただ身体を治すためのアプローチをするだけでは不十分なのです。安らぎを感じてもらうことも接遇においては重要な要素。会話を通じて心のケアまですることが、患者さまの満足や感動に繋がります。そうすれば自ずとかかりつけになってくださるでしょう。

また、人は良いものに出会った時、他の人にもそれを知ってほしいという心理が働きます。つまり、自院の接遇や診察に満足してくださった患者さまは、自ら広告塔となってクリニックのことを宣伝してくださるのです。

最近は実際に利用した人の口コミが重視されやすくなっていることもあり、口コミの効果は馬鹿にできません。患者さまが行きたいと思うクリニックにすること、つまり話し方に気を配ることこそが集患において重要な役割を果たすのです。

信頼関係を築く話し方のコツ

患者さまに好まれる話し方とはどのようなものなのでしょうか。もしかしたら何か複雑なテクニックが必要なのかと思われるかもしれません。ですが、ここでご紹介するものはどれも簡単ですぐに実践できるのでご安心ください。誰でも今すぐにでもできること、けれども誰もが忘れがちなことが大切なのです。

笑顔を心がける

医師というのは真面目な顔をしているイメージがあるかもしれませんが、真顔の人と笑顔の人のどちらが良いかと聞かれたら答えるまでもないでしょう。笑顔は患者さまの緊張をほぐし、話しやすい雰囲気を作ります。

長時間にわたって立て続けに診察した時など、疲れが溜まっている時は特に笑顔を忘れがちです。患者さまは医師の表情や雰囲気にとても敏感なので、そういう時こそ意識的に笑顔を作るようにしましょう。

また、笑顔になることで自然と声が明るくなるという効果も。声のトーンも患者さまに好印象を抱いてもらいやすくする大切な要素なので、やはり笑顔は常に心がけることをおすすめします。

患者さまの話を遮らない

患者さまが医師に診てほしくて(=医師の話を聞きたくて)来院しているというのは事実です。しかし、それと同じくらい患者さまは自分の話を聞いてもらいたいと思っています。ですから、患者さまが話をしている間は「話す」というステージから降りて聞くことに徹する姿勢が大切になります。

たとえ話の先が見えていたとしても「それってこういうことですよね」などと話を横取りしてはいけません。家族や友人との会話でも、つい話を遮って自分が話し出してしまうことがあると思います。話をただ聞くというのは意外と難しいものです。だからこそ、患者さまの話を最後まで聞ききることを意識してください。

「話す」より「引き出す」

自分が話すことよりも患者さまの話を引き出す方が大事な仕事です。そうすることで患者さまに信頼されやすくなります。また、患者さまの状況を詳しく把握できるので、より正確な診断ができるでしょう。

話を引き出すには開放型の質問、いわゆるオープンクエスチョンが有効です。「Yes/No」の二択で迫るのではなく、自由に答えていただけるよう5W1Hを効果的に使いましょう。とっさの判断が難しい場合には、簡易的なマニュアルを用意するのもおすすめです。こういう患者さまにはこのように対応するといった具合に、ある程度整理しておくことで、スムーズに話を進められます。

クリニックの今後と開業前に考えるべきこと

今後はインターネットやAIの発展により、医療の在り方も変化してくると思われます。コロナ禍を機にオンライン診療が広まり、常用薬の郵送サービスも利用されるようになりました。そう遠くない将来、クリニックにおける診療方法や設備についても変わってくると考えています。

実際、中国などでは遠隔診療を主とするクリニックも登場し始めているそうです。これからクリニックを開業する方は、このような世の中になる可能性も踏まえ、規模や設備をよく検討すると良いと思います。

また、AIが台頭してきたとしても、医師と患者さまの関わりを絶つことはできないでしょう。今後も医師の人柄・話し方が重視され続けるのは必然です。開業前には自身の性格も考慮し、どのように開業するのか決めることをおすすめします。

話が好きで聞き上手な方は、自ら診療もする方式が向いているのではないでしょうか。そうでない場合、経営者としての役目に徹したり、接遇は看護師にサポートしてもらったりする方が良いかもしれません。

まとめ

医師には医療知識・技術だけでなく、コミュニケーション能力も求められます。患者さまは「技術力×人柄」で医師を評価するからです。また、この記事でお伝えしたように、話す内容だけでなくノンバーバルコミュニケーションも大切になります。これを機に一度まとまった時間を設け、患者さまとの接し方について振り返ってみてはいかがでしょうか。

過去の連載記事でもクリニック経営に役立つさまざまな情報をまとめています。ご興味のある方はぜひ他の記事もご覧ください。

この記事の著者/編集者

蓮池林太郎 医療法人社団SEC 新宿駅前クリニック院長 

1981年、東京都生まれ。5児の父。医師。作家。帝京大学医学部卒業。2009年、新宿駅前クリニック開業。2011年、医療法人社団SEC設立。クリニックの開業支援や経営コンサルティング、記事執筆、講演などをおこなう。著書に「競合と差がつくクリニックの経営戦略―Googleを活用した集患メソッド」(日本医療企画)、「患者に選ばれるクリニックークリニック経営ガイドライン」(合同フォレスト)など。

  医療法人社団SEC理事長
  新宿駅前クリニック 皮膚科 内科 泌尿器科 院長
  蓮池林太郎(はすいけりんたろう) 
  蓮池林太郎ホームページ:https://www.hasuikerintaro.com
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  〒160-0023 東京都新宿区西新宿1-12-11山銀ビル5F
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遺伝子専門医でもある熊川先生は、難聴のリスク遺伝子を特定する研究にも携わられてきました。信州大学との共同研究を経て、現在では高い精度で予後を推定できるようになっています。 将来を見据えたライフスタイルの設計のために。本連載最終記事となる今回は熊川先生の経緯や過去の症例を伺いながら、難聴の遺伝子検査について取り上げます。