気になる自家がんワクチンの副作用の有無と診療価格

前回の記事では、臨床での活用事例についてご紹介しました。今回は医師・患者にとっての使用感、受診方法や診療価格についてご紹介します。

医師・患者にとっての使用感

過去に重篤な副作用がない

——医師・患者の方々からはどのような声がありますか?

大野:現在までに3,000例を超える患者さんに投与していますが、重篤な副作用がなく、医師・患者さんからは安全性についてよく喜ばれます

次の表は脳腫瘍に対する自家がんワクチンを含む治療の有害事象(Adverse event)を示しています。 Grade1は症状がないまたは軽度の症状があることを、Grade2は中等症を、Grade3は重症または医学的に重大であるが、直ちに生命を脅かすものではないことを表します。

図3-1:脳腫瘍に対する自家がんワクチンを含む治療の有害事象事例(引用:Ishikawa, Eiichi et al. Journal of neurosurgery vol. 121,3 (2014): 543-53. )During/After AFTV欄の括弧内の数値が自家がんワクチン(AFTV)との関連性が否定できない有害事象で、それ以外の数値は放射線治療と抗がん剤治療によるもの。

——Grade3に該当する項目がありますが、これは自家がんワクチンによるものですか?

大野:この表は放射線療法とテモゾロミド(抗がん剤)と自家がんワクチンを併用した際の有害事象を表しています。自家がんワクチンに起因すると考えられるのは括弧内の合計28個で、いずれも重大なものではありませんでした

これまでに脳腫瘍の臨床試験でGrade3と判定された副作用が1例だけありましたが、それは上腕の大きな腫れであり、3日で自然消失し、専門医の間でも問題にはなりませんでした。

図3-2:ワクチン注射から2週間後(左)、4週間後(右)の様子。あり得る副作用は赤い腫れ、表皮の落屑、一過性の発熱。

——重大な副作用がないというのは魅力的ですね。自家がんワクチンは誰にでも使用可能なのでしょうか?

大野:免疫刺激剤(アジュバント)がワクチンに含まれているため、自己免疫疾患を患っている患者さんの場合、それを悪化させる可能性があるので投与しないこととしています。

クリニックでの導入

——他に医師にとって利点となることはありますか?

石原医師にとって初期投資が必要ないことは大きいですね。かつては、小型のデスクトップクリーンベンチと小型微量高速遠心機を置くための事務デスク1つ分の院内スペースがあれば、院内で無菌的なワクチン調剤が可能としていて、これら機器類は全部で30万円前後で整備できるとしていました。しかし、今ではそれも不要としています。また、治療自体も皮内注射するだけとシンプルなものです。ゆえに導入障壁は低いと言えます。

受診の仕方

——患者さんが自家がんワクチンによる治療を受けるためにはどうすればよいですか?

大野:患者さんは外科手術を受けた病院でがん組織を確保する必要があります。病理診断のために、がん組織はホルマリン固定またはパラフィン包埋という形で必ず保存されるため、過去の手術に遡って受診することができます。がん組織は自分のがんと闘う武器になります。がん組織を確保する際には、主治医に、残っている組織のどこががん部位なのか簡単な図を書いてもらう必要があります。

図3-3:どこががん部位かを表す図

大野:弊社と技術提携しているクリニックは全国に点在しています。患者さんは自家がんワクチンを受診できる病院に予約し、がん組織を持参して初診を受けます。自家がんワクチンは持参から1週間程度でできあがり、かつ外来通院で接種可能です。

診療価格

——治療にはどれくらいのお金がかかりますか?

大野:自家がんワクチン療法は自由診療のため、弊社と提携している病院・クリニックごとに診療の費用が異なります。1コースは「初診、3回のワクチン接種、2回の免疫反応テスト」で構成されていますが、すべて含めて150 万円前後です。初診費用は別になっている場合もあります。原則として1コースで終了します。

この値段の捉え方には地域差があるようで、東京エリアでは安い、利根川より北、多摩川より西では高い、と捉えられることが多いです。

私たちは他の免疫療法と比べると相対的には低価格な治療法であると考えています。

他の免疫療法では、1回20万円だとしても繰り返し数が多くなることがあり、200万円を超えることがあります。個人輸入の未承認抗がん剤には注意が必要で、効かなくなるか、副作用で飲めなくなってしまうまで投与が繰り返される可能性があります。

抗がん剤は、一回一回は安いとしても、長い間繰り返し服用しなければならないこと、強い副作用の恐れが高く、毎日それに耐えなければならないこと等、生活の質(QOL)の低下を考えれば、結局は高くつきます。

編集部より

がん患者さんが自分の治療について自分でどうにかしようと考えるようになるのは、保険適用されている標準的な治療が終わり、医師がある程度手を施し終えた頃であるといいます。

がんに苦しむ患者さんが、科学的に有効な他の治療法を知ることなく一生を終えてしまうのは残念でなりません。もっと早くこの治療法に出会えていたら……という治療法があるかもしれません。

自由診療という名だけで敬遠されることなく、適切な説明に基づいた認知が広まることを願っています。

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読者の皆様の反響に応じて、今後も自家がんワクチンに関する取材を続けていく予定です。

ここまでで伝えきれなかったこともお伝えできればと思います。

次回の記事の公開を待たずに自家がんワクチンに関してご質問のある方、お問い合わせになりたい方は下記フォームからお願いします。

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この記事の著者/編集者

ドクタージャーナル編集部   

薬学・生物学を専門的に学んだメンバーが在籍。ミクロな視点で最新の医療を見つめ、客観的にその理想と現実を取材する。科学的に根拠があり、有効である治療法ならば、広く知れ渡るべきという信念のもと、最新の医療情報をお届けする。

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