CDC6 RNAi療法を「尊厳を保つがん治療」と表現するわけ。

5つの特徴

——阿保さんはCDC6 RNAi療法を「尊厳を保つ治療」と表現されています。これはどういった理由からでしょうか。

阿保:それを説明するためにはまず、標準治療がどのような治療かを説明しなければなりません。がんの治療において初めに検討されるべき治療法は外科的アプローチです。手術でがんを完全に切除できれば問題はありませんが、切除できない範囲に広がってしまった場合、主に化学療法が選択されることになります。

化学療法で用いられる薬剤は開発が進み、副作用の軽減、治療成績の改善を達成してきたものの、がんの完全な駆逐の達成には至っていません。

標準治療では、科学的根拠に基づいて、がんの症状・ステージに応じて選択される治療内容が画一的に決められています。この際、あるレベルを超えてがんが進行している場合、医師は「延命」を目指すが、患者さんは「根治」を期待するという意識のずれが生じてしまいます。この両者の意識のずれが埋まらないまま化学療法が継続されると、「延命を前提とした治療による厳しい副作用に、根治を望む患者が耐え忍ぶ」という悲劇が生まれることになるのです。

そこで5つの理由から、CDC6 RNAi療法を、「尊厳を保つ治療」と表現しています。

——1つずつ順番に教えていただいてもよろしいでしょうか。

1.激しい副作用がなく、寛容性が高い

阿保:分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤、CAR-T細胞療法など、今後期待されるがん治療薬には、時に重篤な副作用をきたすリスクがあります。CDC6 RNAi療法は重篤な副作用はみられず、外来治療で可能です。

本治療を始めた初期は38度以上の熱が数時間から半日続くということが度々みられていました。それでさえ、熱が治まればさっぱりした感じで終える程度でしたが、最近では製剤の精製の精度が良くなったためか、熱発・悪寒はほとんどみられなくなってきました

2.標準治療の適応がない状態でも治療が可能

阿保:標準治療において、薬剤のプロトコール通りに決められた薬剤が使い切られたあとは、緩和ケア(Best Supportive Care, BSC)に移行しますが、実のところは病気の進行を抑える治療は何もしない実質上の治療中止と言えます。CDC6 RNAi療法では、標準治療の適応がなくなったBSCの方に対しても提供可能で、時に劇的な回復をすることもあり、完全にがんを駆逐できなくとも、がんと共存しながら日常生活を送れる可能性もあります。

3.標準治療の補完治療としても機能する

阿保:CDC6 RNAi療法は、手術、放射線治療、化学療法などの標準治療との相互干渉がない治療メカニズムなので、治療効果をより高めるために標準治療と併用することも可能です。化学療法を補完し得るだけでなく、治療中や治療後に再発が不安な患者さんには、予防医療として活用できます。

4.がん幹細胞の郭清ができる可能性があり、がんの掃討が期待できる

阿保:細胞分裂の開始に必要なライセンシングファクターを治療ターゲットにしていることから、がん細胞の無限増殖を根源的に止める可能性を秘めています。製剤を病変に運ぶベクターには全身のがんに製剤を届けることができるリコンビナントレンチウイルスを用い、全身のがん細胞を駆逐することを目指す治療設計にしています。

5.近未来の「がん医療」で主軸の医療技術となる可能性がある

阿保:今後、マイクロRNA検査、リキッドバイオプシーなどが発展し、画像検査で捉えられないほど早期のレベルで、がん細胞の存在が発見できる時代になった際に、発見された目に見えないがん細胞の治療法として君臨し得る「究極的ながん早期治療」の主軸技術になる可能性もあると考えています。

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次回の記事では、CDC6 RNAi療法にかける阿保院長の思いをお伝えします。

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    この記事の著者/編集者

    ドクタージャーナル編集部   

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