医療法人HSR 名嘉村クリニック 院長  名嘉村博 氏
連載睡眠医療の先駆者として、1990年日本で最初の睡眠呼吸センターを開設する

#02 日本で最初の睡眠呼吸センターを沖縄県浦添市に開設する

近年、睡眠障害の深刻さの度合いはますます増してきている。 従来、睡眠障害はごく一般的な病気であったが、患者数の増加とともに高血圧や脳血管障害をはじめとする,様々な生活習慣病を合併することが知られるようになり,プライマリケアの第一線で対応する内科医、及びかかりつけ医にとっても睡眠医療に対する積極的な対応が求められる時代となってきている。 名嘉村博氏は、日本における睡眠医療を牽引し、特にSAS(睡眠時無呼吸症候群)の治療においては1990年に日本で最初の睡眠呼吸センターを沖縄県浦添市に開設した。 (『ドクタージャーナル Vol.2』より 取材・構成:絹川康夫、写真:安田知樹、デザイン:坂本諒)

睡眠医療の取り組みに対する地域差は大きい

名嘉村氏は、帰国した翌年、浦添総合病院にチームアプローチによる米国型の診療体制を作り、さらには病院の技師を米国に留学させ、日本で第 1 号の米国認定睡眠検査技師(RPSGT)の資格を取得させる。

このようにして名嘉村氏は睡眠検査システムの充実を図っていった。

「またそのころアメリカで使われていた睡眠検査のためのPSGは日本製品のシェアが高くて、日本光電の機械が全米で70%近くのシェアを占めていました。

ところが帰国してから日本製品を使おうとしたら日本向けはないというので驚きました。日本では売られていなかったのです。

何とか研究用に貸与してもらいましたが、そのくらい当時の日本におけるSASの認識は低かったのです。

また神戸などの大都市でさえ学会認定の睡眠呼吸センターが出来たのがつい最近というように、現在でも睡眠医療の取り組みに対する地域差は非常に大きいです。」

2000年、50歳で名嘉村クリニックを開業

浦添総合病院において、保険適用の2年前から在宅酸素療法(HOT)を半額病院負担で導入したり、コロラド大学での研修に参加したり、HCU設立後にはチーム医療確立のための呼吸療法士の育成に取り組む。

また、福岡市に独立型の睡眠クリニックは日本で2番目となる福岡浦添クリニック・睡眠呼吸センターを開設するなど、目覚しい活動を展開していた。

そこには浦添総合病院の宮城敏夫理事長をはじめを理事会の理解と支援があった。

その後、浦添総合病院は国の医療政策で病院の機能分化が進められる中、急性期医療を担う地域医療支援病院になるため外来患者を3分の1に減らすことが決定された。

慢性疾患の外来患者を他の医療機関に紹介したのだが、睡眠障害の患者だけは病院が他に無く紹介できない。しかも患者は今後確実に増加している。当然、睡眠呼吸センターは続けられない。

そこで必要に迫られた結果ではあったが、浦添総合病院の睡眠呼吸センターの職員と医療検査機材を全てそのまま引き継いだ形で2000年名嘉村クリニックを新規開業した。名嘉村氏が50歳の時である。

こうして名嘉村クリニックは、呼吸器疾患と睡眠医療、在宅酸素療法や人工呼吸器のケアもできる在宅医療を2本柱にして開業した。

システム構築に大きなウェイトを掛けている

現在は、医師12名(常勤8名、非常勤4名)、看護師18名、臨床検査技師7名(常勤4 名、非常勤3名)、放射線技師1名、管理栄養士1名、理学療法士1名、システムエンジニア2名、社会福祉士2名、社会福祉主事1名、事務部門12名、助手2名、夜間非常勤検査技師・看護師10名スタッフで内科、呼吸器科、睡眠障害、糖尿病治療などを主に、睡眠呼吸センター、糖尿病・甲状腺センター、在宅ケアセンター、沖縄治験センターを有している。

「当クリニックは、チームアプローチのモットーとしてシステムで診療するのが特徴です。システムエンジニアが2名おりサーバ9台、パソコン60台で院内ネットワークシステムを構築しています。ほぼ一人にパソコン1台です。

クリニック全体で60 人程のスタッフの内 40 人が睡眠診療に関わっています。

当クリニックでは検査技師は検査だけではなく、患者さんに検査手順や CPAP の説明、時には苦情処理も行っています。勿論看護師も同様です。

クリニック開設以来の 1 万件に及ぶPSG データは全てデータベース化してありますし、全ての患者さんの統計データも取れるようになっていて、臨床研究に役立つようになっています。

また院内ネットワークを活用して、ドクターのスケジュール管理やクリニックの運営・経営の情報も共有化しています。当然、アクセス権限の制限等、情報管理のセキュリティも万全にしてあります。

現場での利便性や患者さんの説明などのために、ipadも20台すでに導入しています。システム構築に大きなウェイトを掛けている点が特徴ですね。」

(続く)

この記事の著者/編集者

名嘉村博 医療法人HSR 名嘉村クリニック 院長 

【専門領域】呼吸管理・人工呼吸療法・在宅酸素療法・睡眠医学。 1974年九州大学医学部卒業、1976年九州大学第一内科(循環器)、1984年浦添総合病院呼吸器科、1989年アメリカコロラド大学呼吸器科にて睡眠時無呼吸検査施設研修、1990年日本で最初の睡眠呼吸センターを沖縄県浦添総合病院に開設する。

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