#01 日本全国をカバーする眼科専門の医療機関として発展してきた井上眼科病院グループ
連載:ユニバーサルデザインによる病院づくりで、ホスピタリティの実現を目指す
2021.07.29
132年の歴史を誇る井上眼科病院
「井上眼科病院」は、1881年(明治14年)に創設者の井上達也氏が神田駿河台に「済安堂医院」(井上眼科病院)を開設してから2017年で創立136周年を迎えた。
この間、お茶の水・神田周辺の地域医療への貢献のみならず、日本全国をカバーする眼科専門の医療機関として発展してきた。
井上眼科病院グループの中核として、特別外来と入院、手術を行っており、現在の院長を務める井上賢治氏は創設者の井上達也氏の直系5代目に当たる。
現在、2病院・3診療所体制の井上眼科病院グループは、専門機能を有する各施設が有機的に連携することでグループシナジーを発揮し、より効率的かつ効果的な医療を提供している。
お茶の水・井上眼科クリニック
患者の増大や施設の老朽化から、井上眼科病院の駿河台にあった3つの外来施設を統合・独立して、隣接する新お茶の水ビルディングに2006年に独立・開設したのが、「お茶の水・井上眼科クリニック」だ。
新お茶の水ビルディングの18F・19F・20Fと高層階に位置し、開設当初はアクセスの不便さが懸念されたが、現在は1日に1,000人以上の患者が来院している。
当クリニックの最大の特徴は、施設のいたるところに導入されているユニバーサルデザインだ。患者のストレスを排除し、安全と安心を確保するために、照明、床、トイレ、案内表示、受付カウンター、ラウンジの椅子など、クリニック内の様々なところに、誰でもわかりやすく、利用しやすいデザインが施されている。
当クリニックに来院する患者は年齢も性別も体型も異なるうえ、病気の内容も、不自由の度合いもそれぞれ違う。
最先端の医療を提供は当然として、来院患者の安心感と満足度を高めるための努力が今の医療現場には不可欠だとの井上賢治院長の強い思いが当クリニックのユニバーサルデザインには反映されている。
当クリニックは、地域医療機関としての役割と同時に「『眼』の総合病院」として、全国から来院する患者に対応するという役割も担っている。
井上眼科病院グループ
これにより現在は、手術および入院、特別外来を受け持つのが「井上眼科病院」、診療の窓口である外来部門が「お茶の水・井上眼科クリニック」という診療体制を敷いている。
また、江戸川区を中心とした地域医療を担うため、1991年に「西葛西・井上眼科病院」を開設し、2004年には、コンタクトレンズ専門クリニック「西葛西井上眼科クリニック」、小児眼科専門外来の「西葛西井上眼科こどもクリニック」を開設した。
その後の2015年には上記3クリニックを統合して新たな「西葛西・井上眼科病院」とした。さらには2016年に、大宮・井上眼科クリニックを開設した。
井上眼科病院グループは「患者さま第一主義」を最大理念に、最先端の医療はもちろん、ハード・ソフトすべての面で患者に安心と満足を提供できる、やさしい「眼」の総合病院を目指している。
「眼」の総合病院として、診療・治療だけでなく「目の相談室」を設置して、ソーシャルワーカーや相談員が、治療や医療費、役所への申請などに関する情報をはじめ、ロービジョン(低視覚)の方をサポートするグッズなども紹介している。
ロービジョンケアにも積極的に取り組み、2010年にはロービジョン外来も開始している。ロービジョン外来では、専門の医師による視機能の評価を含めたロービジョンに関する全般的な相談に対応している。
千差万別、あらゆる患者に対して最善の医療を提供し、「患者さま第一主義」に立脚した「『眼』の総合病院」として、患者からは「この病院を受診してよかった!」、職員には「働いてよかった!」と思ってもらえるような「優しい病院」を目指しているという。
森口敦 ドクタージャーナル東大生チーム・コーチ兼メンター