コーラルクリニック 院長  石垣泰則 氏
連載「その人の尊厳を尊重しながら、病気は家で治す。最期まで寄り添う。」

#07 学生の時に在宅医療に触れることはとても大切なことだと思います。

神経内科医でリハビリテーション医でもある石垣泰則氏は、在宅医療の第一人者である佐藤智氏の「病気は家で治す」の教えに強い感銘を受け、20年以上に及び神経内科専門の在宅医療に取り組んでいる。 その経験の中で、家や家族、そして地域そのものに治癒力が宿っていることを実感すると語る。 「リハビリテーションの真髄は在宅に在り」と信じ、日常診療に取り組んでいる石垣泰則氏は、一般社団法人全国在宅療養支援診療所連絡会の副会長として、在宅医療体制の充実を目指す活動にも日々尽力している。 (『ドクタージャーナル Vol.25』より 取材・構成:絹川康夫、写真:安田知樹、デザイン:坂本諒)

御茶ノ水ドクターズネットワーク

― それぞれ専門性を持った在宅医療クリニックの地域連携が、御茶ノ水ドクターズネットワークの特徴と伺っています。―

御茶ノ水ドクターズネットワークとは、専門性がそれぞれ違うところが連携することで患者さんの療養にプラスになるようにと、平成24年10月から在宅医療を実践する仲間と始めた在宅医療の地域ネットワークです。

コーラルクリニック、文京根津クリニック、水道橋東口クリニック、東京在宅ケアクリニックと、等潤病院で構成されています。等潤病院は在宅療養支援病院で在宅看取りも行っている病院です。

御茶ノ水ドクターズネットワークの特徴とは、それぞれの専門性を持った在宅医療クリニックが連携することで、グループとして質の高い診療が提供できるようになっているということです。

ネットワークに参画している先生たちは、在宅医療に対する意識も高く、それぞれのクリニックや病院は、自院で責任を持って24時間365日在宅医療を行っています。

そのような診療所があえて集まり連携したという点では、一般によくある在宅療養支援診療所の連携とは違い、珍しい連携の形だと思います。

ネットワークで行われる毎月のミーティングで、近況報告と患者さんの臨床情報の共有化を図り、互いにアドバイスし合い、より良い診療に活かすようにしています。

御茶ノ水ドクターズネットワーク

当院を含め、5つの医療機関で連携したグループ名を、御茶ノ水ドクターズネットワークと申します。この連携により、1つの診療所だけで診療するよりも、より患者さまに対して適切な診療を提供することが可能になります。

■医療法人社団泰平会 コーラルクリニック
〒113-0033 東京都文京区本郷4-1-7 第2近江屋ビル301  TEL:03-5844-3133
■ 文京根津クリニック
〒113-0031 東京都文京区根津1-1-18 パライソ和田ビル3F TEL:03-3821-2102
■ 水道橋東口クリニック
〒101-0061 東京都千代田区神田三崎町1-3-12 水道橋ビル9F  TEL:03-3292-1270
■ 東京在宅ケアクリニック
〒113-0034 東京都文京区湯島1-5-34 お茶の水医学会館5階 TEL:03-6240-0001
■ 社会医療法人社団慈生会 等潤病院
〒121-0075 東京都足立区一ツ家4-3-4 TEL:03-3850-8711

若い医師たちに在宅医療を伝えていきたい

― 石垣院長の今後のビジョンをお聞かせください。―
これからは、若い医師たちに在宅医療を伝えていくことが私の役割だと思っています。

日本医師会でも、かかりつけ医による在宅医療を広めて24時間体制を強化し、自宅での看取りを充実させていこうという動きがあります。

最近の若い医師の中には、ジェネラリストを目指して在宅医学会の専門医試験を取ろうと、一生懸命に勉強している人もいます。

日本在宅医学会の専門医養成プログラムの中の実践者コースでは、すでに在宅医療を実践している医師達が、在宅医療の認定専門医の資格が取れるようなコースも用意されており、専門医の養成に力を入れています。

学生の時に在宅医療に触れることの大切さ

最近では、医学部の授業でも在宅医療の教育が始まっており、当院でも東大医学部の研修生を受け入れて、在宅医療の教育をサポートさせてもらっています。

2018年には、母校の順天堂大学の医学部の学生も、正規の必須カリキュラムのひとつとして当院に実習に来ることになっています。

私が初めて在宅医療に接したのも、医学部5年生の時でした。

当時、順天堂大学脳神経内科助教授の佐藤猛先生が筋ジストロフィーの患者さんの自宅に人工呼吸器を持っていくときに、連れていってもらいました。

当時の人工呼吸器は冷蔵庫くらい大きなもので、運ぶのが大変だったことを覚えています。

多様なキャリアビジョンがあって良い

従来のような、大学を出て研修を受けて病院に勤めて、最後は開業してという、ワンパターンのキャリアビジョンではない医師の生き方、育成の在り方も考える必要はあると思います。

ある程度経験も年齢も積んでいる医師達が、自分の専門性を活かして新たに在宅医療に取り組めるというシステムがあっても良いと思います。

例えば、専門スキルを持った医師が病院を退職した後、在宅医療に目を向けてもらう。

或は、医師としての最後のキャリアとして、在宅医療という選択肢がある。というような考え方が定着すると素晴らしいと思います。

また開業して、現場で在宅医療を学んでから、病院に戻って専門的な医療に携わるということも、自由にできるようになると良いですね。

― 本日は、訪問診療でお忙しい中を、貴重なお時間を頂き誠にありがとうございました。―

この記事の著者/編集者

石垣泰則 コーラルクリニック 院長 

一般社団法人全国在宅療養支援診療所連絡会副会長、一般社団法人日本在宅医学会理事、 医学博士、日本内科学会認定内科医、日本神経学会神経内科専門医、日本在宅学会専門医、日本リハビリテーション医学会専門医、日本リウマチ学会専門医、日本医師会認定産業医、介護支援専門員 1982年順天堂大学医学部卒業、順天堂大学医学部脳神経内科入局、1990年城西神経内科クリニック開業、1996年医療法人社団泰平会設立 理事長、2009年コーラルクリニック開院

この連載について

「その人の尊厳を尊重しながら、病気は家で治す。最期まで寄り添う。」

連載の詳細

話題のニュース

more

「認知症の人を、人として見る」という視点 元永: 「本人の尊厳を大事にする」という言葉は、もはや言い古されています。にもかかわらず、特に認知症医 ...

0Picks