クリニックにおける採用・面接時の注意点
連載:人気クリニック経営者・蓮池林太郎のネット集患テクニック
2021.12.27
新宿で高い人気を誇る「信頼と実績」のクリニックを経営するカリスマ院長が、自らの実体験をもとにクリニック経営のノウハウをご紹介。クリニックを開業するにあたって重要な立地選び、ネット広告、接遇マナー、採用・教育など、今の時代に即した経営戦略をお伝えします。
雇用後に「思っていた人物と違う」と感じたことはありますか?
人材のミスマッチは医療業界に限らず意外と多く起こっています。ですが、採用前にしっかり見るところを見れば、ミスマッチを防ぐことは可能です。今回は人材を見極めるために気をつけるべきことをご紹介します。
クリニックに欲しい人材の特徴
あなたが経営者として欲しい人材の条件は何ですか?
もしかしたら「能力が高い人」を候補に挙げているかもしれません。私の場合、一定の能力さえ持っていれば、特別出来が良くなくても構わないと考えています。なぜなら、クリニック経営において重要なのは、良い人よりも合う人に長く勤務してもらうことだからです。
クリニックを構成するのは医師一人ではありません。スタッフ一人ひとりが重要な柱を担っています。だからこそ、協調性が重視されるのです。患者さまや同僚、医師(自分)と上手く関係を構築できる人、つまりそのクリニックに合う人であるかどうかを、採用時の判断基準の一つにしています。
また、経験者であるかどうかも重要です。特に、開業したての頃は何もかもが初めてで一からクリニックを作り上げていかなければなりません。そのため、初期段階で事務スタッフを雇うのであれば、クリニックでの実務経験がある人を選ぶと良いでしょう。経験者であれば安定した体制を築きやすいですし、マニュアルの整備なども安心して任せられます。
求人を出す際の注意点
求人を出す前にまず、自身のクリニックの診療時間・内容・規模を踏まえたうえで、労働条件を洗い出しましょう。たとえば、実働8時間のクリニックであれば正社員でも問題ありませんが、1日に6時間しか稼働時間のないクリニックの場合はパートの方が向いています。
また、給与の設定にも細心の注意が必要です。高い給与を設けてしまうと、クリニック経営を圧迫する原因になりかねません。一方で、競合クリニックよりも大幅に安い給与だと、そもそも応募者が集まらなかったり、すぐに離職されたりする可能性が高いです。基本給の設定は、周囲のクリニックや世間の情勢も考慮しながら慎重に行ってください。
ちなみに、私のクリニックでは長く働いてもらうための工夫として定期昇給制度を設けています。勤続年数に応じて基本給が上がっていく仕組みなので、長く働いてもらいやすいです。
このように、どういう人材に来てもらいたいのか、どんな風に働いてもらいたいのかをよく考えたうえで雇用条件を整えることをおすすめします。
面接時に見るべきところ
人を雇ううえでは、経営者というよりむしろ管理者としての意識を強めた方が良いでしょう。つまり、自身の能力・裁量の中で適切に管理できる人材を選ぶことが大切になります。
たとえば、面接中に前職(現職)の不満などマイナスなことばかりを言う人は避けた方が無難でしょう。また、面接前にしっかりその人の経歴や素性を探るため、Google検索などで氏名を入力し、SNSの利用マナーはきちんとしているかなどを確かめておくことも重要です。
面談で質問する内容としておすすめなのは「休みの日の過ごし方」。応募者のライフスタイルを知ることで、大事にしている価値観や就職活動(転職活動)における軸が見えてきます。あわせて「周囲からの評価」も聞いておくと良いでしょう。自己評価・分析よりも嘘をつきづらいうえ、その人の客観的な評価や性格が分かります。
そのほか、履歴書の資格欄も参考になります。仕事に役立てられる資格を取得している場合、それだけ仕事に対する熱意があると窺えるからです。向上心も高いと思われるので、能力や業績に応じて昇給するような実力主義のクリニックであれば適した人材だと考えられます。
また、基本的な情報のため見過ごしてしまいがちですが、居住地も重要なポイントです。クリニックから近いところに住んでいれば、支給する交通費を抑えることができます。些細なことですが、こうした堅実な積み重ねがクリニック経営には欠かせません。加えて、通勤時間が短いと長く働いてもらいやすい傾向があります。
このように履歴書や職務経歴書の内容をただ見るだけではなく、そこから読み取れる情報や自身で調べた情報をもとに面接準備を進めることが大切です。面接前にしっかり準備をしておくことで、応募者の人となりを見極めやすくなります。
良い人より合う人を
ここまで述べてきた通り、人を雇ううえで最も重要なのは自身のクリニックに適応できる人材であるかどうかです。開業したての頃は特に即戦力が欲しい時期。どこのクリニックでも引っ張りだこになるような能力の高い人材も魅力的ですが、経営・管理を考えると能力は普通で人柄が悪くなく、長く勤めてくれそうな人材の方が良いこともあります。華々しい経歴や目先の利益にとらわれず、本当にクリニックに合った人材に来てもらえるようにしたいですね。
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新着コメント
ドクタージャーナル東大生チーム・コーチ兼メンター 2021年12月31日
「クリニック経営において重要なのは、良い人よりも合う人に長く勤務してもらうこと」
集患に実績ある蓮池先生の、きれいごとを超えた実践的な考え。
とても納得です。