認知症介護研究・研修東京センター長  山口晴保 氏
連載山口晴保氏インタビュー:患者さんや家族のQOLを高めることが認知症の実践医療

#02 山口晴保氏:元気な高齢者が地域の中で活動することで自らも元気になる。その好循環を作る。

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病理学研究、神経内科医、リハビリテーション医と特異な経歴を有し、30年以上にわたる認知症医療で、多くの臨床経験を積んできた認知症専門医で群馬大学名誉教授の山口晴保氏は、特に認知症医療の薬物療法における医師のエビデンス信奉に警鐘を鳴らす。 新著の「紙とペンでできる認知症診療術 - 笑顔の生活を支えよう」では、目の前の患者・家族の困難に立ち向かう認知症の実践医療を解説し、あらゆる分野の医師に認知症の診断術を理解・習得して欲しいと訴える。 (『ドクタージャーナル Vol.20』より 取材・構成:絹川康夫、写真:安田知樹、デザイン:坂本諒)

群馬県介護予防サポーターの育成に取り組む

介護予防に関しては、2006年より群馬県介護予防サポーター制度を設け、介護予防サポーターの育成に取り組んできました。

介護予防サポーター制度とは群馬県独自の認定制度で、主に高齢者で、地域で自主的に介護予防活動を行おうとする人や、市町村等の介護予防事業にボランティアとして活動したい人などを対象者として、介護予防に関する知識や技術を身につける研修を行い、群馬県介護予防サポーターと認定して活動に参加してもらう制度です。

研修は、初級、中級、上級コースと別れていて、県内市町村と12の地域リハビリテーション広域支援センターが連携して実施しています。平成18年度から26年度までの9年間で約9,000人が受講しています。

10年前から取り組んでいるこの制度は、地域において介護予防を担うのは元気な高齢者でよいのではないか。という考えから始まりました。

元気な高齢者が地域のために活動することで、サポートを受ける人たちだけではなく、高齢者のサポーター自らも元気になる。その好循環の仕組みを地域の中で作ろうというものです。これは地域包括ケアの先駆けだと思っています。

楽しく行う運動が高齢者にとって大切

例えば前橋市では、介護予防サポーターによる「ピンシャン!元気体操」という独自の介護予防の体操に取り組んでいます。

身近にある地域の集会場レベルで行うので、そこに住んでいる高齢者が気軽に歩いて参加できるという点が特徴です。

高齢者にとって介護予防のために一番大切なことは体を動かすことです。運動は体にも脳にも良い効果があり、それは認知症予防にも同じことが言えます。

しかも運動はお金がかかりません。指導する側にとっても特別な資格は不要です。

続けていくことで運動すること自体が楽しくなってきますので、習慣化もします。

しかし、集まってもらうためには楽しくなくてはならない。認知症予防のためにといっても人は集まりません。そのために楽しさや手応えを感じられるような工夫が必要です。

『 群馬県介護予防サポーター制度 』

  1. 介護予防サポーター養成研修

    地域で自主的に介護予防の活動を行おうとする方や、市町村等の介護予防事業にボランティアとして活動したい方などを対象に、介護予防に関する知識や技術を身につけていただく研修です。

  2. 介護予防サポーターの認定

    群馬県独自の認定制度です。初・中級研修は県内統一プログラム、上級研修は市町村独自のプログラムです。

  3. 介護予防サポーターの区分(概要)

    初級コース:介護予防の必要性や方法を理解し、隣人などに広められる。
    中級コース:介護予防の全般的な知識を身につけ、介護予防事業のサポートができる。
    上級コース:ボランティア等で経験を積み、地域のリーダーとして自主的活動ができる。

  4. 研修内容

    初級コース:一般高齢者向けに「介護予防の基礎知識」(3時間程度)
    中級コース:地域活動希望者向けに「介護予防全般の知識」(3時間×3日間程度)
    (例)運動(筋トレ)、栄養、口腔ケア、認知症予防、地域づくりの秘訣など

(続く)

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この記事の著者/編集者

山口晴保
山口晴保  認知症介護研究・研修東京センター長 

群馬大学名誉教授、認知症介護研究・研修東京センター長。認知症専門医、リハビリテーション専門医。 アルツハイマー病の病態解明を目指して、脳βアミロイド沈着機序をテーマに30年にわたって病理研究を続けてきた後、認知症の臨床研究に進む。認知症の実践医療、認知症の脳活性化リハビリテーション、認知症予防の地域事業などにも取り組む。群馬県地域リハビリテーション協議会委員長として地域リハビリテーション連携システムづくりに力を注ぐとともに、地域包括ケアを10年先取りするかたちで、2006年から「介護予防サポーター」の育成を進めてきた。2005年より、ぐんま認知症アカデミーの代表幹事として、群馬県内における認知症ケア研究の向上や連携に尽力している。

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