日本赤十字社 足利赤十字病院 院長  小松本悟 氏
連載医師の視点で医師中心の医療経営戦略を推進し、地域医療に貢献する。

#03 全てに緻密な計画性を施し、患者さんと自然に優しく、災害に強い病院を目指す。

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2011年7月1日に新病院としてオープンした足利赤十字病院は、足利市を中心に佐野市、群馬県太田市、桐生市、館林市の両毛5市をカバーする地域の中核病院だ。 従来の病院建築の概念を変えた珍しい免震構造による6分棟型構造で、一般病棟の500床は全室個室である。風力発電機や太陽光発電パネルなどを備え、病院として初の国土交通省の省CO2推進モデル病院にも選出されている。 施設の斬新さもさることながら特筆すべきは小松本悟院長が推進する、医師の視点による医師を中心とした全員参画型の病院改革だ。患者満足と職員満足を両立させる病院を創ることを理念に掲げる。 (『ドクタージャーナル Vol. 3』より 取材・構成:絹川康夫, 写真:安田知樹, デザイン:坂本諒) 

自然にやさしく災害に強い病院として

足利赤十字病院の駐車場に設置された風力発電の風車4台は、トリアージカラーで今や同病院のシンボル的存在である。正面玄関前には太陽光発電パネルが設置されており、共に災害時に利用できるようになっている。

「これまで病院はCO2排出に無頓着でしたが、この病院では自然にやさしい病院をめざしています。病院もそういう取り組みを行っていることが、一目でわかるようにすることが大切なのです。」

災害に強い病院として、免震構造を採用した。建物が157個の免震装置の上に乗っている構造になっている。正面玄関の庇は全長80mを超え、災害時の収容スペースとして利用できる。

また講堂が設置され、災害時には緊急病棟になり300人の収容が可能だ。壁には医療用ガス、吸引装置が装着されている。ふだんは地域住民とのイベントや健康講座などが開催される。

これまでの病院の建物は基壇型を典型とする。それに対し、同病院は6分棟型。ホスピタルモールを中心に、病棟、外来棟、中央診療棟、エネルギー棟、健診棟、講堂棟がサテライト状に配置されている。

建物に入ると、中庭に面して明るい光を取り込むホスピタルモールに至る。2階吹き抜けで、ここから奥への視認性をもたせて、目的の場所へ移動しやすいようにしている。

9階建ての病棟は2階からが病室である。救命救急センターは、中央診療棟1階に設置されている。

分棟型の目的は、成長と変化への対応である。棟によって耐用年数が異なる。病棟は30年以上もつが、検査機器の入れ替えが多い中央診

療棟の耐用年数は比較的低い。耐用年数を越えても、広い敷地の空き地を使えばその部分だけの改築移転ですむ。

新しい足利赤十字病院には、全てに緻密な計画性が施されている。

分棟型と一般病棟全室個室のメリット

従来の病院は建物全体が、スクラップ&ビルドが繰り返され、無駄が大きかった。同病院のような6分棟型構造設計であると、変化にフレキシブルに対応できるのでメリットは大きい。ある棟が不要になればそこだけ閉鎖して、他の用途に回すことなどもできる。

患者は中央診療棟で全ての検査を済ますことができるので、院内アクセスが楽になった。外来患者ならば、外来棟で受付から会計までワンストップで診療が受けられる。

病棟には、個々の診療科名称がついていないため、多様な診療科目の患者を受け入れやすく、ベッド稼働率は常に100%近い。

病棟と病棟とは関連する機能を水平につなぎ、スムーズに移動できるようになっており、さらには病棟の半分は、患者が入れないバックヤードになっているので、職員は患者と会わずに別の導線で全ての病棟にアクセスできるようになっている。

「個室世代の若い人たちが疾病年齢になったとき、望むのは当然個室です。また、多くの病院では個室から埋まっていく傾向にあります。ですから、全室個室化は新病院の重要なコンセプトです。」

一般病棟の全室個室化により、患者はプライバシーが配慮された快適な入院生活が送れるようになった。各個室は木質系を中心の落ち着いたインテリアで、ICカードシステムによる外来者の入退室管理を行い、セキュリティーも保たれている。

(続く)

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この記事の著者/編集者

小松本悟
小松本悟 日本赤十字社 足利赤十字病院 院長 

日本赤十字社 足利赤十字病院 院長 1969年慶應義塾大学医学部卒業、1979年同大学院医学研究科(内科学専攻)終了、1984年~86年米国ペンシルバニア大学脳血管研究所留学、1988年慶應義塾大学神経内科医長、1994年足利赤十字病院副院長、2005年東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科修士課程医療管理政策学(MMA)コース修了、2006年慶應義塾大学医学部客員准教授(内科学)、2008年足利赤十字病院院長、2010年~慶應義塾大学医学部客員教授(内科学)

この連載について

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